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米「ブラックフライデー」商戦からの18年ホリデーシーズンの先行きは?

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全米小売業連盟(National Retail Federation以下、NRF)は、11月22日の「サンクスギビングデー」から同26日の「サイバーマンデー」までの間に1億6400万人のアメリカ人が買い物をすると予測しており、多くの小売店は実際の客足も順調だとしている。好調だった秋季の売り上げがそのまま年末まで続くだろうというのが大勢の見方だが、株式市場の動き、金利やガソリン価格の上昇、インフレ、関税、そして消費者の購買意欲の変化など、懸念材料がないわけではない。

 アメリカの大手百貨店メイシーズ(MACY’S)のジェフ・ジェネット(Jeff Gennette)最高経営責任者は、「店舗で実際に客数を計測しているが、現在のところ順調だ。第3四半期の後半からコート類が飛ぶように売れており、シベリアからの寒気に助けられてブーツやその他の防寒着も好調だ」と語った。また、23日の「ブラックフライデー」の出足でホリデーシーズン全体の売り上げを予測できるかという質問には「できないと思う。いいスタートを切ってはいるが、シーズン全体についてコメントするのはまだ早い」と答えた。

 J.C.ペニー(J.C. PENNY)は、23日昼の時点でアパレル、玩具、ファインジュエリー、キッチン家電が好調で、「ホリデーシーズン向けの品ぞろえが好評でうれしく思っている」と発表した。今年、同社の売り上げは落ちており、ホリデーシーズンで巻き返す必要がある。

 株式市場の動きを見てみると、23日のダウ平均株価の終値は前日比0.73%減の2万4286ドル(約274万4318円)、S&P 500指数は同0.66%減の2632.56ドル(約29万7479円)をつけ、2010年以来で最悪の「ブラックフライデー」となった。原油価格の下落に足を引っ張られ、エネルギー関連株が軒並み売られたが、小売業も厳しい戦いだった。米百貨店のコールズ(KOHL’S)は前日比3.8%減の63.83ドル(約7212円)、アーバンアウトフィッターズ(URBAN OUTFITTERS)は同3.3%減の36.16ドル(約4086円)、ターゲット(TARGET)は同2.8%減の67.35ドル(約7610円)となった。比較的緩やかながらも、メイシーズも同1.8%減の32.01ドル(約3617円)、ノードストロム(NORDSTROM)は同0.8%減の51.54ドル(約5824円)、アマゾン(AMAZON)も同0.97%減の1,502.06ドル(約16万9732円)だった。

 株価が上昇した小売りとしては、カナダグース(CANADA GOOSE)が同4.2%増の68.04ドル(約7688円)、ウォルマート(WALMART)が同0.99%増の95.10ドル(約1万746円)、ギャップ(GAP)の同0.7%増の26.0ドル(約2938円)などが挙げられる。

 マスターカード(MASTERCARD)の国内消費者動向分析サービス「スペンディング・パルス(SpendingPulse)」によれば、「今年の『ブラックフライデー』の売り上げは予想通りに推移している。ホリデーシーズンにおける平均的な日と比較して、売り上げは4割強程度多くなるだろう」という。また小売業の中でも、アパレル、家電、家庭用品が好調で、「寒気や雨天などの悪天候がオンライン上での売り上げを後押ししている」とコメントした。

 米コンサルタント会社アクセンチュア(ACCENTURE)のジル・スタンディッシュ(Jill Standish)=シニア・マネジング・ディレクターは、「ソーシャルメディアを参考に買い物をする人々が増えているので、そうした面を強化してきた小売りは売り上げを伸ばしているはずだ。またEC小売りは引き続き成長しているが、“発見”が買い物の醍醐味であることに変わりはない。店舗を改装して消費者を呼び込み、サンプリングやワークショップなど参加型のイベントを提供する小売りが増加している」とコメントした。